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2012年5月 6日 (日)

北アルプスの遭難

 GW。残念ながら遭難が起こった。

 残念だ。

 山岳誌ではGWの雪山を特集し、また、その危険性も当然記事の中に組み込まれ、冬の山と変わらないことも、くどいほど、毎年のように注意を促している。昨年も荒れに荒れた。後輩のパーティは槍ヶ岳登頂を断念し、敗退している。なのだけれども。

Img_6226s  4月10日、件の白馬岳近くにいた。山スキーが目的だったので、白馬乗鞍岳まで登った。そこまでは今回遭難した人たちと同じルートだ。TVの映像を見る限りでは、その時より格段に雪は減ってはいる。しかし、この雪山に、報道されているような雨具にTシャツ姿で、本当にあの人たちは挑んだと言うのか? しかも、悪天が宣告されているのに関わらず。解せない。

 4月下旬GW直前、ひとりで南アルプスの仙丈ケ岳に登った。誰もいない雪山に登りたかった。目論見どおり、その日、仙丈ケ岳にいたのは僕たった一人だった。仙丈ケ岳に登るのは初めてで、3000mの稜線上で、多少リッジもある山で悪天に見舞われるのは、今の僕には荷が重い。技術的なリスクが少なく、また、好天になるのを見越して一週遅らせた山行だった。登山中、巻雲がかかっていたので、天気が下り坂になることが予想できたが、これも天気予報どおりですぐには崩れないこともわかっていた。ただ、午後になって風が出てくるのがいやで、山頂に15分ほどいて、下山した。

 戸台からテント場のある北沢峠まで、冬山用の幕営装備と、ピッケルやワカンほかの冬山装備、計ってはいないが、20kg超の荷物を担いで歩いた。ゴーグルやダウンジャケット、バラクラバ、3層のグローブの内のミドル用のグローブなど、使わなかったものはいくつかあった。テントは冬山用のスノーフライを持参した。結果論として、使わなかっただけで、状況によっては必要不可欠なものばかりだ。

Photo  自己分析してみる。状況が予想に反し、荒れていたとしよう。森林限界あたりで登頂を断念していたかもしれない。しかし、もう少し、もう少しと足を延ばした可能性もあろう。ホワイトアウトしたらどうしたろうか?

 誰かと一緒なら、まず間違いなく登山を中止して下山しているだろう。責任感ゆえに。リスクを回避するために。しかし、単独行の場合はどうなんだろう。小千丈を越え、いくつかのリッジを通過して、千丈小屋を取り巻く尾根にすでに取り付いていたら。行ったか、行かなかったか? 行って行けるかもしれない。しかし、天候がさらに悪化し、リッジあたりで猛吹雪に逢うかも知れない。その時、僕はリスクを回避する行動をとるのか、ええい、ままよと、突き進むのか?

 山という場所は、死が隣り合わせにある場所ということは、山に登るものなら知っていると思っている。いや、そう思っておきたい。

 登山の世界に、端っことはいえ身を置く者として、遭難報道がある度に気が重い。

 なんとかならなかったのか。

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コメント

はじめましてpanです
今出ている報道によると多少の防寒具とツェルトは持っていたみたいですね。
強風下で着用するタイミングを逃したのか・・・
低体温症の初期段階で判断力が相当鈍っていたんでしょうか。
本人達しかわからないですね。続報が待たれます。
自分も昨年5月、大天井岳にとりつく直前に吹雪にまかれて停滞を余儀なくされた経験があるので
色々と考えてしまいます。

投稿: pan | 2012年5月 8日 (火) 10時47分

ご無沙汰しております。
遭難された方々はご高齢とはいえ医師集団です。低体温症の生理学はよくご存知だったはず。軽装との報道ですが、報道から受けるイメージがハイキングの延長なので疑問。最低限の装備は持っていたが、活用できなかっただけと思いたい。立山、トムラウシの遭難からも低体温症は状況が変わらない限り確実にジワジワ進行し、半日、一日続く気象現象との時間勝負になる。ミゾレ、吹雪に急変の稜線で何ができるのか?そういう状況を避けるのはもちろんですが、荒天ビバーク時の低体温症についてはシミュレーションしておいたほうがいいですね。どうも判断能力が想像以上に落ちるみたいなので。身に着けられる物は全部身に着けてザックにもぐるというのを本で読んだが遭難者はそこまで努力したんだろうか?それとも本に書いてあることは所詮、画空ごとなんだろうか?

投稿: きよし | 2012年5月 9日 (水) 11時06分

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