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2012年8月 3日 (金)

沢登りとシャワークライミング

 3日間、橋尾の歌ちゃんと大峰山脈を縦走した。川上村の柏木から下北山村の前鬼までである。1日目は晴天だったが、一昨日、昨日と雨であった。

 前鬼へ下ってくると、嘘のような晴天で、沢登りの若者が二人、ちょうど前鬼川の遡行を終えて上がってきた。

 で、前鬼の林道のゲートまでタクシーを呼び、向かっている途中に沢登りの話になった。

「シャワークライミングってどう思う」とボクが聞いた。その意味は、「最近、沢登り=シャワークライミングというようなことになってるみたいやけど、それはそれでええんか?」ということである。

「えー、シャワークライミングって水がかかって登ることを言うんやから、沢登りのことではないよね。日本語間違うてる」というような返事が返ってきた。ま、日本語ではないけどね。和製英語ではあるけど。

 昔のこと、15年ほど前だが、雑誌で掲載するのに沢登りをシャワークライミングとしたところ、当時ボクにいろいろと山のことを教えてくれていたKCに、「加藤君、ちゃうで」と訂正されたことがある。といってもめんどくさいと言うか、方便として「沢登り=シャワークライミング」として使ったことは、その後、正直、ある。ただし、沢登りのなかに「シャワークライム」が含まれている場合においてのみである。

 しかし最近、業界のとある若い女の子と話していて「シャワクラ行きたい」と言う言葉を聞いて、本人には言わなかったが「なんじゃそりゃ?」と感じた。違和感だ。

 もともとシャワークライミングとは、沢登りのなかで滝などを登るときに水を頭からかぶりつつ登る「部分」や「行為」のことを言っていたはずだ。水に足をつけて歩いたり徒渉したりしている部分とは別扱いで、たとえば「●●滝の突破はシャワークライミングとなる」とかいう使い方をしていた。まあ、うまい表現だと思う。2001年にヤマケイが出した沢登りの入門書には「滝を登る」のページに「シャワークライム」としてその注意点が書いてある。ガイドページには「15㍍の滝は、一段目は凹状の中をシャワークライミングで登る」と記述されている。「この川をシャワークライミングする」なんて使い方は一箇所もない。

 方便や謳いとして、沢登りというよりシャワークライミングと言ったほうがなんとなくカッコイイし、各メーカーや山岳イベントの企画者が使いたくなるのはよくわかる。そしてまた好意的にみれば、彼らは、わかっている人はわかっていると言う前提で、あまり知らない人向けにカッコよく言っているのだと思う。

 しかぁし!「シャワークライミングとは沢登りのことだ」と山岳業界にいる若者たちが方便ともわからずに思い込み、しかもなんのてらいもなく「シャワクラ」と略語にしてまで使っているのをみると、「おい、おい」と思ってしまうのは、おいらがおじさんだからか。細かいことだから別に構わないんだけれど、「ああ、わかっとらんのやね」と、聞く人が聞いたらそう思われてしまうのだから、ちゃんと伝えるべきことは伝えとかないと本人が恥をかくはめにならないか、と心配してしまう。

 そもそも、沢登り自体が日本独自の登山形態なのだから、クライミングで「シャワー」と付くようなジャンルのものはない。もともとシャレというか、言葉の遊びである。

 ほんでもって試しにインターネットで検索してみた。ほとんどが「シャワークライミング(沢登り)」という書き方をしている。これにはびっくりした。マジで!

 くどいようだが、「シャワークライミングに行こう」とは「沢登りに行くけど、今度のコースにはシャワークライミングするとこもあるで」というのが本来的な意味だ。

 「あたしも『シャワクラ連れてって』って今度誰かに言ってみよう」と、歌ちゃんが言った。「滝に打たれてクラクラしとけ」と返しておいた。

 言葉なんか変わるから、ま、どうでもいい話なんやけど。

 そのうち、「シャワークライミング=沢登りのこと」になるんやろうなあ。それでええんかなあ。

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コメント

加藤さん、週末の山登りベスト120 入手しました!
まだ湖西の山と京都一周トレイルの一部しか行ったことがないので、あちこち足を伸ばしてみます。
ジェットボイルの使い方もいろいろと教えていただいて、購入予定です!

投稿: kiyo | 2012年8月15日 (水) 12時45分

加藤さん、ご無沙汰しています。時期外れのコメント書き込み、ご容赦を。
『シャワクラ』。。。ですか、ちよっと名称、表記の普及と言うか、使用に関わる身としては複雑な気分と違和感を感じてしまいます。

量販品の販売戦略から、名称が広がっていった経緯を知っているので、不思議な和製?英語で正確でもなく、歴史的にも使って正しい訳でもないですが、この名称の使用者の増加は今となっては制止、停止するのも難しいですね。

投稿: ネクスト・ドリ-ム | 2012年11月20日 (火) 10時24分

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