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2013年3月24日 (日)

マイク

 マイクというチェコ人の若者がいる。

 こいつはなかなかの曲者で、まあ、外国人らしく日本の登山家はこれっぽっちも知らないのだが、海外の登山家の本は読み漁っておる。

 「ワルテル・ボナッティはスゴイね」とは「ヘルマン・ブールの本はほんと面白かった」とか「レイ・ラシュナル」がどうとか、「リオネル・テレイ」がこうとか。最近の登山家の話は出てこない。話さなかったのかもしれないが。アイガーの話から「ホワイト・スパイダー(邦題「白い蜘蛛」)」の話になって、ずるずると話が弾んだ。

 初めて両親に連れて行かれたのがドロミテだったらしい。13、14の頃だという。だから、気持ちのよりどころはヒマラヤではなく、アルプスだ。

 貪欲で、誰彼誘っては山に行っている。危険なことがしたい。いや、語弊があるなあ。冒険的なことがしたい。言い換えれば、その突き詰めたところにはパイオニア・ワークがある。

 その意味で、安全を第一とする日本の若者と違う。いや、そんな若者もいるけれど、いきなりドロミテに行って、多分フェラータだと思うが、岩に触れさせられたというのは、お国柄というか、土壌が違うのだろう。

 むずかしいなあ。つまり、リスクを冒すことを僕は立場上勧めることはできないが、上を目指すのであれば冒さざるを得ない面があるのは本当だ。「レベル・アップしたい」と彼は言う。

 「日本アルプスなんて初心者でもいけるね」というのは、ある意味本当で、否定できない。20代の頃、何も考えず、山登りをしたこともない先輩と劔岳に登った。僕自身2度目の日本アルプス。先輩と一緒に靴を買いに行ったが、先輩はかっこいいのでワークブーツを買おうとしたが、登山靴の方が歩きやすいですと主張して、従ってもらって、あとで「ほんまやったなあ」と言われた。で、別になんともなかった。カニのタテバイもヨコバイも。

 整備された道を歩くのは、標高がどうであろうと、ハイキングの延長だという考え方だってある。

 ボナッティに憧れるくらいだから、まあ、彼の気持ちからしたらそれは本当だ。

 「経験を積むにしても、リスクの低い方法で積んでいったほうがええで。いきなり死んでも仕方ない」というと、「そう、ヘルマン・ブールもそう言ってる。登山家は経験積む2、3年は死んだらダメだって言ってたね」と抜かしやがる。おいらとブールは大分違うけどなと思いつつ、「結局ブールも山で死んでるで」とは言えなかった。

 マイクの弱点はひとりだということだ。最後は一人でも、その前にちゃんと教えてくれる人が必要だ。そういう人と経験を積めば、一人前になるまでのリスクは大幅に減る。

 ちょっと適当な人を考えてみるかな。マイクが生き残れるように。

 マイク、とりあえずガストン・レビュファのDVDを貸してやるよ。

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