カテゴリー「山の映画」の記事

2011年5月28日 (土)

ご無沙汰です。ブログ再開します。『岳』を見た話

 えー、ブログ、気分が持ち直してきたので再開することにします。

 震災後、3月、4月と近郊の山にはあまり行かず、八ヶ岳、西穂独標と、立て続けに中部山岳地帯の山に登った。西穂のほうは、山と溪谷社刊『ワンダーフォーゲル』(ヤマケイJOYの後釜)に紀行文を掲載しているので、興味のある人は買ってください。4月はほかに関西の山3山、5月は5山に登っている。ホントは今日も登るつもりだったが、天気予報が雨だったためにやめにした。

 そんで、代わりと言ってはなんだが、映画『岳』を観てきた。

 やっぱ込み上げてくるものがあるね。原作を読み込んでいるからか、山の世界をなまじっか知っているからか。なんども泣きそうになってしまった。三歩がいいんですわね。この人の生き方が。

 付け加えられたエピソードがあったり、設定が変わっていたりしてたけど、原作のテイストを殺さずに作られていたのがよかったね。映画化されてがっかり、という人は少ないんではないじゃろか。

 僕のイメージとは少し違ったけど、小栗旬さんは「よくがんばっていた」。小栗さんなりに捉えた三歩のイメージを、一所懸命演じていた。好感が持てた。

 好感が持てたという意味では、長澤さんもよかったのでは。三歩もそうだが、一所懸命さが光れば、このドラマは成り立つようにできている。とくに久美ちゃんの役は。

 原作のイメージどおりに演じていたのが、昴エアの牧を演じた渡辺篤郎さんだ。原作にある牧をメインにしたエピソードがぜひ見てみたい、とまで思った。クールだぜ。

 抜群だったのが、市毛良枝さんだ。一度しかお会いしていないので偉そうにはいうほど知りはしないのだが、ああ、ほんといい人だ。遭対の若者たちを見守る谷村のおばちゃんの人柄がすばらしかった。

 佐々木君は、さすがにうまい。うまさに磨きがかかってきた。文句の付け所がないのだが、あえて愛情を込めて言っちゃうと、チョイ気張りすぎかなあ、という気がしないでもなかった。でも、よかったのよ、偉そうに言ってゴメンね。あえて言えばの話やからね。

 まあ、そんなことでね、楽しい夜でした。やっぱ山に生きるしかないな、と思ったのでした。それが僕には一番似合ってるような気がしたのでした。

 ほい、ついでといってはなんですが、今度は僕が演じたやつの話。

 加藤文太郎を描いた芝居『山の声』のラジオドラマ化したやつ。震災直後の3月19日にオンエアだったのだが、さすがに告知する度胸がなかったので、聞いていない人も多いだろう。MBS(毎日放送)でオンエアされたのですが、現在、インターネットでポッドキャスト配信されています。ポッドキャストと言うやつは僕はあんまりわからんのですが、視聴で全部聞けちゃいます。前編・後編と分かれていて併せて1時間15分ほどです。

 お暇だったら聞いてください。アドレスはこちらです。http://www.mbs1179.com/yamanokoe/

 ではまた。

 

 

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2010年3月24日 (水)

『アイガー北壁』

 というわけで、『アイガー北壁』を観てきた。

 トニー・クルツとアンディ・ヒンタシュトイサーの2人のドイツ人の、アイガー北壁に興味を持つ人なら、もう知らない人はいないであろう悲劇の話である。うわさにたがわず、リアリティあふれる映画で、力が入って肩が凝ってしまった。

 公開前に見た人の感想をいくつか聞いていて「怖かった」という意見を複数聞いた。で、前に岩崎元郎さんと歩いているときにこの映画の話をしていて「怖くはないよ。よくあんな装備で登ったなあとは思ったけど」というようなことをおっしゃっていたが、確かに怖いものではなかった。いや、遭難ものの書籍なんかを呼んでいると、慣れっこになってしまって、特殊なものとは思わないのだ。多分、山をやっている人で「怖さ」を感じた人は少ないだろう。「うわ、あんなんようやるわ」とか「やばい、やばい」とか、そういう臨場感は持つだろうが。

 登攀の内容も、結末も、アイガー北壁初登頂者、ハインリッヒ・ハラーの『白い蜘蛛』にかなり詳細に書かれているので、わかっている。ほぼ忠実であったのには、驚いた。そしてそれに、社会的背景と、彼らの人柄、そしてクルツの恋人をからめることで、おおいに成功していると言える。何度か涙がこぼれそうになった。

 宙吊りになったヒンターシュトイサーが自らナイフでザイルを切る場面(これは映画だけの話かも)、恋人がクルツを助けようとユングフラウ鉄道の坑道を歩く場面(もちろん映画での設定)、自分たちの2次遭難を顧みず地元のガイドたちが救出を決意して鉄道に乗り坑道口に向かう場面(『白い蜘蛛』によれば、地元ガイドの方針として向こう見ずな登山者の命をわれわれが危険を冒して救う理由はない、と宣言していたにもかかわらず、地元ガイドは救出に向かった)、必死に生きようとして不屈の精神でがんばるにもかかわらず恋人の目の前でクルツが事切れる場面など。

 去年見た『剱岳 点の記』もよかったが、リアリティという面では今回のほうが軍配が上がる。それは、山がどう、登山がどうというよりは、役者が登山家に見えたと言う点で。自然、ヒューマンドラマも厚みを増してくる。

Aiga  しかし、普段はあまり買わないパンフレットを買ったが、コメントを寄せているのが、先の岩崎さんはもちろん、山野井さんや、最近一押しの注目株の天野さん、三浦雄一郎さん、今井通子さん、田部井順子さん、俳優・タレント陣ではヤマケイ等でおなじみの面々と、もう、観客は登山好きしかおらんと決め込んでのコメントだったのが、なんとなくさびしかった。映画というのはもっと一般の人にアピールしてもらわんと。

 さて、そんなわけで山岳漫画『岳』が映画化される。主演の小栗旬さんは、雪山トレーニングを積んでるらしい。漫画のほうは滑落してバラバラになった遺体もバンバン出てくる。であるからリアリティを追求するのはともかく、これも相当なヒューマンドラマなので、そこでがんばってください。長澤まさみさんと、あと、いまや遠い存在となってしまった佐々木クンも出るようだ。

 たのんまっせ。ぜひ山岳界を盛り上げてください。

 

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2009年7月16日 (木)

「剱岳 点の記」のお話

 いや、よくあるパターンで、見よう見ようと思っているうちに、いつしか上映が終わっているということがよくある。

 映画の話です。封切中の「剱岳 点の記」。こりゃ見とかなければいかんのだが、そうこう思っているうちに終わってしまってもいかんので、無理から出かけてやった。Img_8667_2

 6月半ばに上京したときに、YKの編集部ではすでに試写を見ていたようで、評価は分かれていた。当日も試写会があり、皇太子も同席されたようだ。

 で、そんなことを踏まえたうえで。よかったデス。

 で、何がよかったのか。多少、山がわかるので、登山シーンでは、俳優陣の経験度や装備を見ながら、ほんとにはらはらしてしまう、ということもあるが、まあ、そんなことではなくて。剱岳は、10年以上前に一回こっきり登っていて懐かしかった、ということもあるが、まあ、そんなことでもなくて。美しい日本の自然の風景がよかった、ということもあるが、そんなことでもなくて。

 M女史は「ドラマがなくって、長い」という言い方をしていたのだが、そんなこんなを考えてみると、こりゃ男の映画なのだね。淡々とひとつのことに、まあ、仕事といってもいいが(労働ではない)、それを成し遂げる男のロマンなのだね。

 原作はえらい前に読んでしまって、細かいところなんぞ覚えちゃいないのだが、まあ、原作そのものもフィクションだし、もちろん映画も脚色してある。しかし、製作者の狙い通りのところで目頭が熱くなったのだねえ、これが。成し遂げたことを認めない人間もいるが、認める人間もいて、思いを同じくする人がいて。まあ、最後のクレジットも含めた「仲間」意識はチョイやりすぎの感はあったけれども。

 ドラマは大いにあったのですよ。おいらにとってはね。ホントは陸軍と日本山岳会の登頂競争なんぞなかっただろうし、なんかその辺の仕立ての部分を強調するまでもなかったと思うけれども。淡々と、名誉欲なんぞではなくひとつのことを成し遂げて、それを素直に認めるライバルがいるというのはいい。もっと淡々としててもよかったのかもしれない。

 M女史の見方がよくわからんが、もしかしたら女性にはわかりにくいテーマだったのかも知れんなあ、と思ったのである。

 しかし、男優陣もよかったけど、宮崎あおいちゃん。テレビをあんまり見んのでよくは知らんのだが、こんなにかわいい女性がいるんですな(容姿ではなく演技の話ね)。まいりました。女性から見たらどうか知らんけど。

 封切り後、一ヶ月も経たんが、すでに映画館は空いていたので、興味のある方はどうぞ。

 

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